J’sの森泉です。
「すきバサミで切るのと、普通のハサミですくのって、何が違うの?」
どちらも髪を軽くするなら、同じことをしているように見えますよね。
しかもネットでは「すきバサミは使わないほうがいい」という話も見かけます。
私から先にお伝えしたいのは、道具の名前だけで、カットの良し悪しは決められないということです。
大切なのは、どこを切って、どのくらいの長さや厚みを残すか。
今日は、髪の「残し方」から違いを見ていきましょう。
ここでいう「普通のハサミ」は、理美容用のカットシザーです
文房具のハサミと比べる話ではありません。今回は、クシのような刃があるセニングシザー、いわゆるすきバサミと、通常の理美容用カットシザーを比べます。
ただし、どちらにも種類があります。カットシザーも、まっすぐ切る用途、滑らせる技法に向く用途などで設計が異なります。
「普通のハサミなら、どんな使い方にも向く」という意味ではありません。ミズタニ:シザーの用途別マップ
セニングは、一部を切って、一部を残す道具
セニングは、クシ刃の構造を利用して、挟んだ毛束の中に切る毛と残す毛をつくります。毛束のすべてを、同じ位置で一気に短くするわけではありません。
ここで減るのは、切った位置より先にある髪の量です。
髪を根元から抜いたり、一本の髪を細く削ったりする道具ではないんです。
どのくらい切れるかは、クシ刃の目数や形状などで変わります。東光舎:セニングの説明

つまり「すく」は、髪を全部なくす作業ではなく、毛束の中に長短をつくりながら、厚みや見え方を調整すること。切った毛にも、根元側には短くなった髪が残ります。
普通のハサミでも、軽さやなじみをつくれます
カットシザーは、長さや形をつくるだけではありません。毛束の取り方や刃の入れ方を変えることで、毛先のラインをなじませたり、長短をつくったりできます。
たとえば、毛先へ刃先を入れるチョップカット。メーカーの技法説明でも、毛先の質感調整に使う方法として紹介されています。東光舎:チョップカット
毛束に沿ってハサミを動かすスライドカットも、長短をつくって質感を調整する方法の一つです。技法に向く刃の設計があります。東光舎:スライドカット
セニングは道具の構造を利用して選別し、カットシザーは毛束と技法で調整する。
まずは、そう整理すると分かりやすいと思います。
ただ、セニングでも細かな技法を使うので、きれいに二分できるわけではありません。
一目で見るなら、この違い
| 比べるところ | セニングシザー | カットシザー |
|---|---|---|
| 刃の特徴 | クシ刃を備える | 通常はクシ刃を備えない |
| 調整の考え方 | 刃の設計を利用し、切る毛と残す毛を分ける | 毛束の選び方や技法で、長さ・形・質感を調整 |
| 見るポイント | カット率だけでなく、刃形や用途 | 技法に合う刃形や使い方 |
| 共通して大切なこと | 切る位置・量・残す長さ | 切る位置・量・残す長さ |
この表は、役割の入口を整理したものです。「セニングは毛量だけ、普通のハサミは質感だけ」と限定する表ではありません。
「カット率30%」は、髪全体の30%ではありません
セニングには、カット率やスキ率という表示があります。
一度の開閉で、挟んだ毛束のどれくらいを切るかを示す目安です。
「30%の道具だから、頭全体の髪が30%減る」ということではありません。数字が指すのは、あくまでそのときに挟んだ毛束。表示の基準や実際の切れ方も、メーカーやモデル、髪質、毛束の厚み、角度などで変わります。
同じカット率でも、刃の設計や想定する用途が違えば、なじませ方や切れ方は同じとは限りません。
キクイシザース:カット率と用途の違い

数字は便利ですが、それだけで仕上がりまで決まるわけではない。
ここが、ちょっとややこしくて面白いところです。
「セニングは手抜き」「使わなければ上手」は決めつけです
セニングにも、厚みの調整を想定したもの、毛先のなじみや質感を想定したものがあります。
メーカーによって呼び方や分類も違います。
東光舎の説明にも、質感調整に使うセニングが登場します。ただし、引っかかりやすい通常のモデルを、そのまま同じように使えるとは説明していません。
道具の設計と技法を組み合わせることが大切なんですね。東光舎:セニングによる質感調整
だから「セニングを持っていたから手抜き」と判断するのは早すぎます。
反対に、普通のハサミだけなら必ず上手くいく、という保証もありません。
同じ道具でも、切る位置と量が違えば、残る髪は変わります。どこに厚みを残したいのか、毛先をどう見せたいのか。私は、道具名よりも、その目的から話すほうが分かりやすいと思います。
「たくさんすいて」より、困っている場所を教えてください

「軽くしたい」にも、いろいろあります。内側の重さなのか、毛先の厚みなのか、結んだときの量なのか。ここが違うと、相談する内容も変わります。
- 「長さは残したいけど、内側の重さが気になります」
- 「毛先が薄く見えるのは避けたいです」
- 「結んだときの量を調整したいです」
こんなふうに、残したいところと変えたいところをセットで伝えると、希望が具体的になります。髪質や今のスタイルによって、減らせる場所や量は違うので、全部を同じ方法で解決するわけではありません。
ハサミの種類を覚えてから来なくても大丈夫です。毎朝どこが扱いにくいか、どんな見え方が好きか。
J’sでも、まずはそこから一緒に考えていきましょう。
※図は切る毛と残す毛、相談の考え方を示す模式図です。セルフカットの手順や、特定の仕上がりを保証するものではありません。

