デジタルパーマの由来
まず、正式名称は『形状記憶パーマ』と言います。『デジタルパーマ』というのは実は登録商標なんです。
なので本当はデジタルフリーという機械でかけたパーマのことをデジタルパーマと言います。
ですが形状記憶パーマよりもデジタルパーマという呼び名の方が世間に早く普及してしまったため、今では一般的となっています。
『写メ』なんかもそうです。あれは元々J-Phone(現ソフトバンクモバイル)の登録商標で、DoCoMoやauではそれぞれ違う呼び名があります。
話がそれましたが、世間一般では【形状記憶パーマ=デジタルパーマ】となっております。
コールドパーマとは?
コールドパーマとは、一般的なパーマ?とでも言いましょうか。
皆さんがイメージしている普通のパーマのことを指します。
一般的にロッドオン⇒1液⇒水洗⇒2液⇒ロッドオフ⇒水洗⇒仕上げこのような工程だと思います。
また、1液を水洗した後に、湿熱や乾熱処理、自然放置したものを『クリープ期』と呼び、これを行うことで1液の薬液の強さの加減、持ちの良さなどを調節出来ます。
最近では良く耳にする『クリープパーマ』『エアウェーブ』のことです。
デジタルパーマとは?
デジタルパーマは簡潔に言うと熱を加えたパーマのことです。
ロッドとコードをデジタルパーマ機に繋ぎ、ロッドから熱を出します。
熱を加えるどうなるのか?髪の中のたんぱく質を熱で変性させてしまう(固まらせる)
実は昔から言われているホットパーマとほとんど変わらないのです。
機器が発達してデジタルでの低温から高温までの温度調節やロッドの重さなどが軽減され、扱いやすく生まれ変わった感じです。
1液⇒水洗・中間処理⇒ロッドオン⇒【クリープ期⇒熱変性】⇒完全乾燥(冷却)⇒2液⇒ロッドオフ⇒水洗⇒仕上げ
赤字の部分がデジタルパーマ機を使用した工程になります。
デジタルパーマのメリット・デメリット
デジタルパーマのメリット
- 長期間の持続性がある
- ウェット時とドライ時でのカールの差がほとんどない
- 再現性が高く、お手入れが楽
- 質感が柔らかく、軽い感じを表現しやすい
- チリつきを抑える
デジタルパーマのデメリット
- コールドパーマよりダメージはある
- コールドパーマより時間がかかる
- 技術者によって、質感が硬くなったり、ごわついたりしやすい
- 根元からウェーブが出るようなスタイルは出来ない
コールドパーマよりダメージはありますが、触った質感などはコールドパーマより良いです。
縮毛矯正と一緒で、ダメージはあるけど持続性が高く、きれいに見え、扱いやすいのがデジタルパーマです。
デジタルパーマは毛先のカールが連なってウェーブに見せていきます。
根元から巻くような場合は、熱が均一に入りずらい傾向が多いため、不向きです。
根元からゆるいウェーブがほしい場合は60℃前後まで温め、クリープ期を促進し、乾燥させずにウェーブを作るデジクリープをオススメします。
デジタルパーマが不可能な場合の目安
- 濡らすと伸びたり、弾力が全くない髪
- 毛先や中間が梳かれすぎてペラペラな髪
- 縮毛矯正の失敗で出来たビビリ毛
- 矯正毛にパーマして失敗した髪
- 市販の縮毛矯正で失敗した髪
デジタルパーマとコールドパーマの比較
良い>悪いとします。
- 時間 デジタルパーマ < コールドパーマ
- 持ち デジタルパーマ > コールドパーマ
- 質感 デジタルパーマ > コールドパーマ
- お手入れ デジタルパーマ > コールドパーマ
- ダメージ デジタルパーマ < コールドパーマ
- ウェット時のカール デジタルパーマ = コールドパーマ
- ドライ時のカール デジタルパーマ > コールドパーマ
単純に比較した場合での個人的見解なのでJ’sで施術した場合の目安程度に思ってください。
髪の状態やダメージ具合などでも変わってきます。
詳しく知りたい方はご来店時に説明します。
柔らかく、質感の良いデジタルパーマをお約束します
デジタルパーマのイメージ…巻いた感じがすごく出る、ゴワゴワ、硬い、チリチリ・・・
なんてイメージが先行する方もいらっしゃると思います。
実際に現在でも、美容師側もお客さま側もそう思っており、美容師も敬遠しています。
ですが、毛髪の仕組み、構造をしっかりと理解した上で、薬剤の選定、熱の温度、時間などを的確に設定すれば柔らかく質感の良いデジタルパーマが出来ます。
カウンセリング
デジタルパーマのカウンセリングは縮毛矯正と似ていて詳しく毛髪の状態やダメージ具合、施術履歴を聞き出します。
薬剤の使い分けや、塗布方法、塗布する位置などを決定していきます。
髪の状況によっては施術が難しい場合もございますので、その場合は予め説明致します。
炭酸泉によるシャンプー
当美容室では、炭酸泉を導入しております。
炭酸泉は髪に溜まっている不純物や汚れを効率よく、的確に、素早く流してくれます。
素髪の状態を作り出すことで薬剤選定をよりシンプルに、そしてトリートメントや処理剤の働きを良くしてくれます。
ベースカット
ご希望のスタイルに合わせたカットをしていきます。
また、髪質によっては中間水洗後に量感、質感調節をしていきます。
デジタルパーマの薬剤塗布
5種類+αの薬剤を髪の状態によって調合し、それぞれの部位に適した薬剤を塗布していきます。
またスライスの取り方や角度で『ズレ』を作り、より自然なカールに見せるように薬剤を塗布していきます。
このズレを作るところが他店との大きな違いになります。
中間水洗・中間処理
通常水洗により、毛髪内の1剤を除去します。
中間処理に高濃度のペリセアやCMCなどを使用し、質感を調整していきます。
ロッドオン
毛髪に水分が残っている状態でロッドを巻いていくウェットデジ、ドライをして毛髪に水分を残さないで表面だけを濡らしてロッド巻いていくドライデジの2種類があります。
ウェットデジはカール感をキレイに出し、ドライデジはゆるいカール感を出します。
巻いた後はパッドや断熱材を挿んでいきます。
デジタルパーマ機にセット
ロッドとデジタルパーマ機をコードで繋ぎます。
50℃~70℃でクリープ期を促進し、80℃~90℃で熱変性をしていきます。
その後、ドライヤーの冷風で完全乾燥していきます。
100℃以下で操作するため質感が柔らかくなります。
酸化処理
毛髪のカールを安定させるために複数の酸化剤をオリジナルで調合し、感触にも拘っています。
酸化処理後、ロッドを外し、水洗します。
仕上げ
アウトバスオイル等を付けてドライの際はナチュラルにドライしていきます。
そもそもパーマの仕組みとは
ロッド巻いて薬付けたら髪が曲がる。不思議だと思いませんか?言葉で簡単に書くと以下のようになります。
- 1剤に含まれる『アルカリ剤』が塩結合を切断
- 毛髪が『膨潤』し、水を含み、薬剤を効率よく浸透させる
- 1剤に含まれる『還元剤』がシスチン結合を切断
- 毛髪が『軟化』して、組織がズレていく
- 水分が蒸発していくと、組織のズレが固定
- 2剤に含まれる『酸化剤』がシスチン結合を再結合させる
図解で見てみましょう。
- ペプチド結合 アミノ酸の基本的な結合。過度のアルカリ剤、過酸化水素で加水分解されて切断。
- シスチン結合 システィン2分子が結合したもの。還元剤によって切断され、2剤の酸化剤で再結合してS-S結合に戻る。
- イオン結合 −(マイナス)イオンと、+(プラス)イオンの結合。髪の健康な状態は、pHが弱酸性(pH4.5-5.5)だとイオン結合がしっかり結合している状態(=等電帯)。髪のpHがアルカリ性に傾くと、イオン結合が切断。
- 水素結合 水に濡れると切断。ドライで再結合。
髪の中ってこんな複雑な構造なんです。でもこれはほんの一部です。